あの日の少年
亮太は、喉の渇きを覚え、口の中に溜まった血をそっと飲んでみた。




しょっぱい鉄の臭いと味を噛み締めて、亮太は決心と挫折と親でさえわかってくれない淋しさの中にある絶望が亮太の心の中に押し寄せ、ささくれだった心のぽっかりあいた小さな穴はますます範囲を広めようとしていた。




父親は衆議院議員でほとんど東京での生活で、二ヶ月に一回帰ってくるかこないかで亮太と話しはほとんどしておらず、代わりに祖父が実質亮太の面倒見ている状態で、亮太にとってそれもいやでいやでしょうがなかった。母親も懇談会だとかわけわからない集会で学校から帰ってもほとんど家にいなかった。いたとしても主婦たちの溜まり場になっていた。
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