呪業―じゅぎょう
「ちょっ…ちょっと待って下さい!どうゆう事ですか!?」

奥村は焦るように教卓に向かう。

「どうゆう事か説明して下さい!生徒達が動揺してるぢゃないですか!!」

その言葉を聞き、男は呆れたようにため息をつく。

「はぁ…あなたみたいな感情のある教師は邪魔なんですよ。どうせ何もできないんですから大人しくして下さい」

男は奥村の肩をポンポンっと叩く。

「なっ…ふざけんな!勝手に入ってきたと思ったら今日から担任だあ?俺はなあ!やっとクラスを持てるようになったんだ!!ずっと副担任だった俺がやっと任せてもらえたんだぞ!?それなのに今日来たばっかのお前に何ができ………」

グサッ――――

奥村が言い終わる前に、男は奥村の眼球目掛けてナイフを刺した。

「ぐわぁぁあっ…!!い゛い゛でぇ…目…目が…ぁあ…あ…」

奥村は泣き叫ぶ。

目に刺さったナイフの先からはドロドロっとどす黒い血が流れ、床には血の水溜まりがこの光景を物語るようにできていた。

それを見た女子はキャーと言う悲鳴をあげ、中には気持ち悪くて吐く者もいた。

俺は吐きそうになるのをぐっと我慢した。

そして男はケラケラ笑いながら目に刺さったナイフをグイグイ掻き回すようにした。

その度、奥村は声にならない程に叫び、とうとうその場に倒れてしまった。

男は何くわぬ顔で奥村の目からナイフを抜き、それを美味しそうに舐めた。


見た事のない光景に俺は足がガクガクだった。


狂ってる…

あんなの人間がする事じゃねぇ…

後ろの秀樹も完璧に言葉を失い、ただじっと…男を見ているだけだった…


< 3 / 7 >

この作品をシェア

pagetop