タイム・リミット
「ふーたばっ」
「ふぁひ(はい)?」
入学式から三ヶ月。
私服の顔でママンお手製のお弁当を頬張っていた私に、優子が駆け寄ってきた。
優子は中学の時からの親友。
病気で入院、入学が少し遅れてしまった私に、とても柔らかに接してくれた、いい子だ。
うっすら茶色い黒髪は、少しウェーブがかかっている。それがまた、とても似合っていてふわふわした雰囲気を強調させる。
運動は苦手でも、頭が良く、私が頑張って同じ高校を受けると言い出したときには、少し呆れながらも、物覚えの悪い私に必死に勉強を教えてくれた。
私がこうして、結う事とも似通っていられるのも、彼女が居たから。
「あのさー」
「うん?」
私がそう答えると、ひとまず優子は購買で買ってきたらしいパンを口に含んだ。
「何よ?」
「うん、ちょっほまっふぇ(ちょっとまって)」
コクリ、と喉をならしてパンを飲み込むと、彼女は身を乗り出すようにしてこう言った。
「林間学校、参加してみない?」
「林間学校??」
私は怪訝な顔を浮かべたに違いない。
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