翡翠の帯留
文ちゃんは、
台所を借りた。

ボウルに食器用洗剤を
少し垂らして
水を入れて、
その中にビーズを入れて
わさわさかき混ぜる。

「いいんですか、そんなことして」

浩輔君は慌てて訊いた。

「これ、アメジストでしょ?」
文ちゃんは笑った。
「このくらいじゃ欠けないし。
それに、長いこと付けてたら、
やっぱ、汚れるし」

キッチンペーパーでくるんで、
水気を取る。

「水に弱い石もあるんだけどね、
水晶の仲間は、頑丈だから」

文ちゃんって、もしかしたら
パワーストーンに詳しいのかな。
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