翡翠の帯留
「カフスボタンだ」

お父さんは、
金色の
カフスボタンを手に取った。

「この緑色が、
翡翠なんかな。
浩くん、
どう思う?」
「俺、翡翠見たことないし」

文ちゃんが、
翡翠のはまった
クリップみたいなのを、
お父さんに渡す。

「同じ石に見えるなあ」

お父さんは言った。

「本翡翠だと思う」

文ちゃんは言った。

「お祖母ちゃんの、
帯留めなんです、これ」

文ちゃんは、
帯留めと、
カフスボタンを、
手のひらの上に、
並べた。
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