翡翠の帯留
文ちゃんの私服は、
上から下まで真っ黒で、
何だか、
喪服とあんまり変わらない。

細い指に、
お葬式の間、
使っていたパールではなくて、
ラピスラズリの指輪。

「文ちゃん、
魔女っぽい」

わたしがそう言うと、
真佐子伯母さんが答えた。

「案外、魔女かも知れないよ?」
「ええっ?」
「違い棚のことや、
翡翠のカフスボタンのこと。
文ちゃんが、
知ってるはずないし」


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