翡翠の帯留
夜中近くなって、
「そろそろ引き上げようか」
と、真佐子伯母さんが言った。

その時。

ドアの向こうから、
喪服の女の人が入ってきた。

誰だろう。

お通夜は、親戚だけでやると
言っていたはずなんだけど。


「あやちゃん、来てくれたの」


和子伯母さんが、言った。


女の人は、深く一礼した。
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