翡翠の帯留
だけど、
そのことを詳しく聞くほど、
わたしは元気がなかった。

お祖父ちゃんのことで、
胸がいっぱいで。

斎場に泊まる伯母さんたちと、
お父さんを残して、
わたしはお母さんと家に戻った。

「初めて会ったわ」

お母さんが言った。

「何?」
「文ちゃん」
「そうなの?」
「確か私より、ひとつ年上と思う」

お母さんより、年上の従姉?

何だかわけがわからない。
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