W・ブラッティⅡ
「なぜおれの名前を知っている!?答えろ!」
佐竹の声はホール一体にこだまする。カトリカは驚いて肩をすくめた。
「だから言っているでしょう!『あなたの妹』だって!」
「それでは答えになっていない。返答次第によってはここで相応の罰を受けてもらうぞ」
少しの間沈黙が三人を包んだ。そして、
「……あなたの名前、聖博文。聖鉄斎の一番大きい孫。そうでしょう?」
佐竹は黙っている。エクレシアが続けて、
「私たちはあなたの血に繋がった兄妹です。私は聖沙希。こっちは妹の聖沙弥」
カトリカ――沙弥はぺこりと一礼する。ようやく佐竹の重い口が開く。
「本物の沙希と沙弥なら紙を持っているはずだ。その場でいいから見せろ」
二人はジャケットの胸ポケットから四つ折りにされた紙を開く。紙には『遺産相続候補』と書かれた紙だ。じっと見つめた佐竹は刀を鞘に戻し、
「なるほど。お前たちが本当の妹だってことが分かった。なら……」
「――ここで紙の奪い合いをするか?俺は構わないが」
「いえ。あなたが本当に博文お兄様なのかどうか今日は確かめに来ただけです。まだ未確認の人間がいますからね」
候補者は四人。ここにいないもう一人のことだと佐竹は判断した。
「悠介……か」
「ええ。これからまた確認に行くので今日はこの辺で失礼させて頂きますわ」
「とっとと帰ってくれ。まったく……せっかくの練習が台無しだ」
「それは失礼しましたわ、博文お兄様。でも今度会う時が来たら――分かっていますよね?」
「容赦なく紙を奪う。たとえ妹の命を奪うことになっても……な」
それを聞いた二人は満足そうな笑みを浮かべて階段を昇ってホールのドアから消えて行った。佐竹はそのドアをずっと睨んでいた。
佐竹の声はホール一体にこだまする。カトリカは驚いて肩をすくめた。
「だから言っているでしょう!『あなたの妹』だって!」
「それでは答えになっていない。返答次第によってはここで相応の罰を受けてもらうぞ」
少しの間沈黙が三人を包んだ。そして、
「……あなたの名前、聖博文。聖鉄斎の一番大きい孫。そうでしょう?」
佐竹は黙っている。エクレシアが続けて、
「私たちはあなたの血に繋がった兄妹です。私は聖沙希。こっちは妹の聖沙弥」
カトリカ――沙弥はぺこりと一礼する。ようやく佐竹の重い口が開く。
「本物の沙希と沙弥なら紙を持っているはずだ。その場でいいから見せろ」
二人はジャケットの胸ポケットから四つ折りにされた紙を開く。紙には『遺産相続候補』と書かれた紙だ。じっと見つめた佐竹は刀を鞘に戻し、
「なるほど。お前たちが本当の妹だってことが分かった。なら……」
「――ここで紙の奪い合いをするか?俺は構わないが」
「いえ。あなたが本当に博文お兄様なのかどうか今日は確かめに来ただけです。まだ未確認の人間がいますからね」
候補者は四人。ここにいないもう一人のことだと佐竹は判断した。
「悠介……か」
「ええ。これからまた確認に行くので今日はこの辺で失礼させて頂きますわ」
「とっとと帰ってくれ。まったく……せっかくの練習が台無しだ」
「それは失礼しましたわ、博文お兄様。でも今度会う時が来たら――分かっていますよね?」
「容赦なく紙を奪う。たとえ妹の命を奪うことになっても……な」
それを聞いた二人は満足そうな笑みを浮かべて階段を昇ってホールのドアから消えて行った。佐竹はそのドアをずっと睨んでいた。