W・ブラッティⅡ
 候補者の沙希と沙弥。おそらく近いうちに会うことになる。遅くても一カ月以内には。


 しかし、佐竹は腑に落ちない点があった。


 なぜ俺が候補者だと分かった?それもわずか二、三日という短期間で?あの二人には相当優秀な探偵を使ったか?あるいは鉄斎の人間を使ったか。


 考えられるのは後者の方。前者は考えにくい。


 博文の名前は生まれてからほんの少しの間だけしか使われなかった名前だ。家族だってずっと昔から佐竹の姓を使っていた。聖の名前を知っているのは恐らく自分の幼少時代をのことを知っている人物か。または、


 佐竹の背中から冷汗が出てきた。もしかしたら一番厄介な相手かもしれない。一番下は十違いの妹二人と侮っていた。正直今日戦わずに帰ったことを素直に喜ぼう。今度はそんな心を捨てて戦える。あの二人こそ俺を甘く見ているだろう。


佐竹は左右割れ、倒れているマネキンにさらに剣撃を放つ。刀を一往復程度させただけなのにマネキンは真ん中のそれと同じ末路をたどった。
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