W・ブラッティⅡ
慎次がどぎまぎしながらも彼女の右手にボールを手渡した。
「電車の中は狭いからボールで遊んじゃ駄目だよ」
せっかくのボール遊びが出来ないからか、それとも慎次の慣れない笑顔のせいなのか、少女は明らかに不満顔だった。
慎次は頬を掻いて困った表情をする。すると少女が花開いたような笑顔を慎次に向ける。
「じゃあ!鬼ごっこしましょ!お兄ちゃんが鬼ね!」
「お、お兄ちゃん……」
慎次はまさに天に昇る気持ちになった。そんな趣味は自分にはないと顔を振って頭に浮かぶ妄想を振り切ろうとするが、すぐに少女の笑顔とさっきの『お兄ちゃん』の声に追いつかれ、支配された。
「カトリカ!鬼ごっこしましょ!そこのお兄ちゃんが鬼だよ!」
そう言って物陰からこそっと顔出してきた少女。――カトリカだった。
彼女も少女と同じ格好で、同じ容姿。違うのは頭に付けたリボンカチューシャの色がカトリカは青だった。
「エ、エクレシアお姉さま。その人は大丈夫なんですの?」
カトリカが今にも泣きそうな顔をしてエクレシアと呼ばれた少女を見つめる。しかし、エクレシアの自信たっぷりの理由で一蹴された。
「大丈夫よ!このお兄ちゃんは大丈夫!何かあったらすぐに助けを呼べばいいよ!悪いのはお兄ちゃんになるから!」
そんな皮算用まで……。最近の子供はそんなことまで考えて遊んでいるのか。慎次が苦笑いを浮かべる。
「そう言えば名前言ってなかったね。私は三浦・エクレシア・沙希!こっちは妹のカトリカ・沙弥よ」
「電車の中は狭いからボールで遊んじゃ駄目だよ」
せっかくのボール遊びが出来ないからか、それとも慎次の慣れない笑顔のせいなのか、少女は明らかに不満顔だった。
慎次は頬を掻いて困った表情をする。すると少女が花開いたような笑顔を慎次に向ける。
「じゃあ!鬼ごっこしましょ!お兄ちゃんが鬼ね!」
「お、お兄ちゃん……」
慎次はまさに天に昇る気持ちになった。そんな趣味は自分にはないと顔を振って頭に浮かぶ妄想を振り切ろうとするが、すぐに少女の笑顔とさっきの『お兄ちゃん』の声に追いつかれ、支配された。
「カトリカ!鬼ごっこしましょ!そこのお兄ちゃんが鬼だよ!」
そう言って物陰からこそっと顔出してきた少女。――カトリカだった。
彼女も少女と同じ格好で、同じ容姿。違うのは頭に付けたリボンカチューシャの色がカトリカは青だった。
「エ、エクレシアお姉さま。その人は大丈夫なんですの?」
カトリカが今にも泣きそうな顔をしてエクレシアと呼ばれた少女を見つめる。しかし、エクレシアの自信たっぷりの理由で一蹴された。
「大丈夫よ!このお兄ちゃんは大丈夫!何かあったらすぐに助けを呼べばいいよ!悪いのはお兄ちゃんになるから!」
そんな皮算用まで……。最近の子供はそんなことまで考えて遊んでいるのか。慎次が苦笑いを浮かべる。
「そう言えば名前言ってなかったね。私は三浦・エクレシア・沙希!こっちは妹のカトリカ・沙弥よ」