Ｗ・ブラッティⅡ
「えーっと君たち、ハーフなんだ」


「そう！イタリア人のお父さんと日本人のお母さんの子供なの！」


　慎次は納得した。日本人の純血では決してないとは思っていたが、本当にハーフだったとは。西洋人形と評しても文句は言わないだろう。


「じゃあ。十数えたら動いてね！その間に私たち逃げるから！」


　そう言って電車の奥に二人して消えて行った。


　車内の中で一人苦笑いを浮かべていたが、溜め息を一つ付いて十数え始める。


「……十！」


　慎次がゆっくり歩いてエクレシア達を探す。あれだけ可愛い二人だ。意外とすぐに見つけられるだろう。


　予想通りその先の車両の角で二人が一緒にいるのを見つけた。慎次は笑顔で、


「二人とも見つけた！」


　かなりオーバーなリアクションをしたが、二人の様子がおかしいことに気づいた。


「どうしたの……？」


　角を曲がると明らかに怖そうな男がエクレシア達を睨んでいる。そしてやってきた慎次と顔を合わせる。
< 22 / 73 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop