W・ブラッティⅡ
「はーい……」


 エクレシア達は残念そうに頷いた。この対応はやはり子供のようだったので慎次は安心した。


「お兄ちゃん。さっきは助けてくれてありがとう!」


 いつの間にか彼女たちに懐かれてしまった慎次。二人は片方ずつの腕にしがみついている。その光景はまるで兄妹の様だが少女たちと慎次の顔が全くと言っていいほど似ていないので奥の方からひそひそと後ろ指をさされそうだ。


 そんなことも気に掛けずエクレシアは、


「じゃあ!札幌についても一緒に遊ぼうね!」


「ごめんね。僕札幌についたら家族でマジックショー見に行く約束だから。本当にごめんね」


 エクレシア達はがっかりな表情を浮かべていたが数度頷いて、


「うん。……分かった。お兄ちゃんがそう言うなら仕方ないもんね」


 聞き分けのいい子たちでよかった。慎次はほっと胸をなでおろしていると右に入れてあった携帯が震えだした。麻耶からの電話だった。


『ちょっと。大丈夫?何か問題があったみたいだけど慎次は関わってない?』


 すごい剣幕で話しかけてくるので通話口から麻耶の声が漏れるくらいに大きい。おかげで二人にも麻耶の声が聞こえているだろう。


 エクレシアがすぐに首を横に振ったので慎次もそれに合わせて、


「う、ううん。こっちは大丈夫だよ。大変だね。そんなこと起きていたんだ」


『慎次、そろそろ戻ってきて。また何か問題あると大変だし』


「うん。分かった今から戻るね」


 そう言って慎次は携帯をしまった。エクレシア達が残念そうな顔をしている。


「ごめんね。せっかく仲良くなったのにね」


 すぐにカトリカが首を振って、


「大丈夫……です。また会えますよ。運命がそれを拒まない限り。きっと……」
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