Ｗ・ブラッティⅡ
「何ですって！？慎次よくやったわ！さすがはわが新城家の人間ね！」


　リビングのソファーでお茶を飲んでいた玲菜がはしゃいでいた。子供の笑顔のように無邪気さを前面に押し出している。


「これであの蜃気楼奇術団の人たちに会えるわ！今から何を着るか考えなくっちゃ！」


　そう言ってスキップをしながら自分の寝室へ戻って行った。その後ろ姿は明日、恋人と念願のデートに出かける女の子のようだった。


「来週の木曜からってことは、私たち学校休まなきゃいけないよね？四人だからお父さんも」


「僕たちはなんとでもなるけど、良太さんは忙しいんじゃない？今日だって会見の対応に追われてるみたいだし」


　そこへ玲菜がニコニコして二人の会話に入ってきた。


「その点は大丈夫よ。木曜からはちゃんと休み取ってるの。それも四日間ぴしっと」


　そのこと聞いて慎次は、もしかしたら抽選はこの人が仕組んでいたのではないかと思った。でなければこうも都合よく事が運ぶわけがない。


　しかし、せっかく楽しみにしているのに水を差すのは良くないので黙っていることにした。


　ちなみに言うと今日の夕飯は普段の料理より一品多く追加されていた。彼女曰く一等を当てたお祝いとのことらしい。
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