W・ブラッティⅡ
 その頃エクレシア達は車内の廊下で愚痴をこぼしていた。


「何よ!あんな女のどこがいいのかしらね?私には全くと言っていいほど分かりませんわ!」


「エクレシアお姉さま……。言いたいことは分かりますが赤の他人をいきなり部屋に泊めるというのは随分強引だと思いますが……」


「そう言うことじゃないわよ!あの麻耶って女。泣き落としで男を釣ろうって魂胆がバレバレなのよ!私はそれが許せない!」


 双子のエクレシアとカトリカだが似ているのは顔だけで、性格の方は全くと言っていいほど正反対である。姉であるエクレシアは強気で、妹のカトリカは逆に奥ゆかしい性格で暴走気味の姉の静止役としての面もある。


 カトリカが紙を取り出す。先日、探偵に金を積ませて調べてもらった報告書である。


「彼女は悠介お兄様の姉に相当する人物です。悠介お兄様は学校内でよくいじめに遭っていたらしいです」


 早足で先行するエクレシアの足がピタッと止まりカトリカの方に体を向けた。
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