W・ブラッティⅡ
 慎次と麻耶は車窓から流れる景色に目もくれず二人で自分用に充てられた部屋のベッドで横になっていた。


 慎次の方は麻耶になんと声をかけていいのか分からず、対する麻耶は周囲の目も気にせず泣いたことを後悔していた。


 継続的な揺れと線路の繋ぎ目が生む音以外は聞こえない。まるで人がいない部屋であった。


 慎次は何度か麻耶の方に目をやるが、麻耶は布団で体を隠して自分の世界に閉じこもっている。


 どうしたらいいのか分からない慎次は悠介に相談することにした。


 ――ったく。そういう私的なことで俺を使って欲しくはないね


『頼むよ。玲菜さん達には相談できないことだからさ』


 ――……。まあ、いつまでも微妙な雰囲気で旅行はしたくないんだよな?


『……うん』


 ――だったら少しだけ体を貸せ


『どうするの?』


 ――俺に任せろ
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