W・ブラッティⅡ
3
『札幌、札幌でございます。お忘れ物の無いようご注意ください』
翌日。つまりは金曜日の午前十時。慎次たちを乗せたムーンエクスプレスは予定通り定時で札幌についた。
心なしか東京よりも寒く感じる。慎次たちはもう一枚薄手の上着を羽織った。
各々の荷物を持ち改札を抜けると、そこには目立つように蜃気楼奇術団のポスターが貼られてある。今や全国区となった彼らは北海道が生んだスーパースターと言ったところか。
そのポスターをデジカメで撮っている玲菜。その中でもリーダーの佐竹宏史が好きらしい。
玲菜の写真をほどほどに慎次たちは目的のホテルに足を運ぶ。札幌の駅からは歩いてすぐの一等地に構えた高級そうなホテルが慎次たちのお世話になるホテルだった。
外観は駅前ということで目立たないつもりでいるのだが十分に存在感がある構えになっている。
一歩中に入ると、そこは外から見たものとは別物だった。
高い天井に等間隔に吊るされたシャンデリアと床には真っ赤な絨毯が一面に敷かれている。柱は大理石のようなニュアンスが漂う。少し離れた場所には吹き抜けのホールまであった。清潔感しか見当たらないホテルに一同が顔を見合わせた。
「玲菜さん。明らかにここではないでしょう……。こんな高そうなホテル商店街でとれるはずないですよ」
玲菜がもう一度ホテルのチケットを確認するが名前も住所もあっている。
入口で固まっている四人に従業員がやってきた。二十代前半の若い男性。しわ一つない真っ白なYシャツに黒のスラックスを着ている。
「本日は当ホテルをご利用くださいまして誠にありがとうございます。新城様ですよね?」
玲菜が恐る恐る頷いた。従業員は笑顔で、
「本日から三日間、日曜日までの滞在予定ですね。誠にありがとうございます。ではお荷物をお部屋までお運びいたします」
そう言うと同じ服を着た三人の男性従業員が一礼してから荷物を受け取った。荷物を持っていない従業員が慎次たちを先導する。後ろには荷物を持った従業員が少し距離を置いて歩いてくる。
翌日。つまりは金曜日の午前十時。慎次たちを乗せたムーンエクスプレスは予定通り定時で札幌についた。
心なしか東京よりも寒く感じる。慎次たちはもう一枚薄手の上着を羽織った。
各々の荷物を持ち改札を抜けると、そこには目立つように蜃気楼奇術団のポスターが貼られてある。今や全国区となった彼らは北海道が生んだスーパースターと言ったところか。
そのポスターをデジカメで撮っている玲菜。その中でもリーダーの佐竹宏史が好きらしい。
玲菜の写真をほどほどに慎次たちは目的のホテルに足を運ぶ。札幌の駅からは歩いてすぐの一等地に構えた高級そうなホテルが慎次たちのお世話になるホテルだった。
外観は駅前ということで目立たないつもりでいるのだが十分に存在感がある構えになっている。
一歩中に入ると、そこは外から見たものとは別物だった。
高い天井に等間隔に吊るされたシャンデリアと床には真っ赤な絨毯が一面に敷かれている。柱は大理石のようなニュアンスが漂う。少し離れた場所には吹き抜けのホールまであった。清潔感しか見当たらないホテルに一同が顔を見合わせた。
「玲菜さん。明らかにここではないでしょう……。こんな高そうなホテル商店街でとれるはずないですよ」
玲菜がもう一度ホテルのチケットを確認するが名前も住所もあっている。
入口で固まっている四人に従業員がやってきた。二十代前半の若い男性。しわ一つない真っ白なYシャツに黒のスラックスを着ている。
「本日は当ホテルをご利用くださいまして誠にありがとうございます。新城様ですよね?」
玲菜が恐る恐る頷いた。従業員は笑顔で、
「本日から三日間、日曜日までの滞在予定ですね。誠にありがとうございます。ではお荷物をお部屋までお運びいたします」
そう言うと同じ服を着た三人の男性従業員が一礼してから荷物を受け取った。荷物を持っていない従業員が慎次たちを先導する。後ろには荷物を持った従業員が少し距離を置いて歩いてくる。