W・ブラッティⅡ

2

「それで、何が不満なの?あなたには十分すぎるほどの報酬をやったはずですよ?」


「……まさか、それでも不満があって?」


 二人の少女――。エクレシアとカトリカはかなりの不満を露わにしていた。


 理由は先日の悠介と博文の接触する際に探偵に調べさせた情報のことである。彼女らは聖家のトップシークレットを何としても暴こうとするため闇の人間に頼った。


 しかし、帰ってくる結果は散々な情報でどれも二人の満足を得られるものには程遠いものであった。


 そして五日程前にリストに載った最後の男に託した。


 彼は中国のトップクラスの情報屋で日本のことにも精通しているとのこと。その男になら分厚く守られた聖の情報を掴めると信じた。


 結果は上手くいったと言って差し支えが無かった。無事に悠介と博文との接触を取ることができた。ここまで二人の思惑通りだった。


「ですから。俺だって聖のトップシークレットを見つけるのに何台のパソコンをダメにしたと思います?八台ですよ?八台。その分もキチンと査定に入れてくださいよ」


 男は日本語が流ちょうで日本人と間違う程である。事実。日本人の中に入れればたちまち彼は日本人の中に溶け込むだろう。


「残念ですがその額で手打ちすると言ったのはあなたです。私たちはそれで了解しました。今更報酬を引き上げろだなんて……。図々しいのも程々にしてくれませんか?」


 カトリカが呆れるように男に言い放つ。男は右手に持った小切手を二人に見せつける。額にして七百万。


「図々しくないよ。こっちだってこれで生きているんだ。もっと危険報酬を上げてもらわないと生活があがったりだよ」


 少女たちはどうしたらいいか迷っていた。
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