W・ブラッティⅡ
 慎次たちも早速列に並んで朝食を食べようとするが、和洋中の食べ物がこれでもかとテーブル上に盛り付けられている。


 慎次たちは学校の修学旅行なのでこういう形式の朝食は経験してるが、ここまでの大規模なビュッフェは初めてだった。


 さんざん迷った挙句、慎次はご飯や焼き魚を中心とした和食。麻耶はパンとスープを中心とした洋食にした。


 見た目もかなり良かったが味については文句のつけようがなかった。ご飯も炊き立てで丁度いい硬さで、焼き魚も焼き加減が絶妙。慎次にとって最高とも言える朝食の時間を過ごした。


 今日の予定は午後五時までにホテルに戻って来て、そこからバスで札幌迎賓館に向かいいよいよメインイベントとなる蜃気楼奇術団のマジックショーが控えている。


 五時までは自由時間となっているので四人は札幌の街中を探索しようということになった。


 外に出るとさすが北海道。五月の中頃でもまだ寒い。慎次たちは時折吹く強い風に身をかがめながら札幌の探索を始めた。


 その様子をホテルの角から二組の双眸が四人のことをじっと見ていた。金の髪を真っ直ぐ伸ばし赤と青のリボンカチューシャを付けた二人の少女。


 彼女らは四人が見えなくなるまでその場でじっと見ていた。
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