W・ブラッティⅡ
『お前は選ばれた。聖の技術に選ばれた。そんな有望な人間をおいそれと戻すわけにはいかん。お前には一生、それに付き合って生きていくのだ。魂が解放されるのは死んでからだ。――もっとも、その頃に魂を解放できるくらい無罪な人間でいられるか。だな』
死のうと思った。すぐに死んでやった。でも死ねなかった。
生きていた。気づいたら病院のベッドの上だ。
誰もいないところでひっそりと死にたかった。だが聖の技術を受けた人間は自ら命を絶つことは出来ない。本能が働いて意識を飛ばす、そして傷を最小限に抑え込んで時間稼ぎをするそうだ。それに気づいたのはもう数えるのを止めたくらい自殺未遂を繰り返した結果だ。
諦めた俺は北海道に引っ越した。無論、親はこのことを知っている。
北海道に行きたい。それは知っている人間がいないこの地で再スタートを切りたかったからだ。なんてことは親は知らない。おそらく聖家の北海道支部を作るからなどの理由だったと思う。元から出世欲の強い親だったから、聖家の名前が欲しいだけで子供は使えなければすぐに捨てられた。俺の実の姉と弟はそうだった。
十四歳でようやく技術の制御を覚え被害も出ないようにこなしてきた。俺にもやっと普通の生活が訪れた。
普通な学校生活。普通な恋愛。普通な遊び。そしてマジックグループの結成。
狂った歯車は十年近い時間をかけてようやく元の道に戻れるはずだった。
はずだったんだ……
死のうと思った。すぐに死んでやった。でも死ねなかった。
生きていた。気づいたら病院のベッドの上だ。
誰もいないところでひっそりと死にたかった。だが聖の技術を受けた人間は自ら命を絶つことは出来ない。本能が働いて意識を飛ばす、そして傷を最小限に抑え込んで時間稼ぎをするそうだ。それに気づいたのはもう数えるのを止めたくらい自殺未遂を繰り返した結果だ。
諦めた俺は北海道に引っ越した。無論、親はこのことを知っている。
北海道に行きたい。それは知っている人間がいないこの地で再スタートを切りたかったからだ。なんてことは親は知らない。おそらく聖家の北海道支部を作るからなどの理由だったと思う。元から出世欲の強い親だったから、聖家の名前が欲しいだけで子供は使えなければすぐに捨てられた。俺の実の姉と弟はそうだった。
十四歳でようやく技術の制御を覚え被害も出ないようにこなしてきた。俺にもやっと普通の生活が訪れた。
普通な学校生活。普通な恋愛。普通な遊び。そしてマジックグループの結成。
狂った歯車は十年近い時間をかけてようやく元の道に戻れるはずだった。
はずだったんだ……