W・ブラッティⅡ
二人がいた場所は迎賓館の隣の中ホールであった。大きさは大ホールよりも二回り以上小さいが演奏会を行うには十分な広さを誇るホールだ。
ステージ上に全ての照明が灯る。あまりの眩しさに悠介は腕を使って光を遮る。
そのステージの上に、麻耶の姿があった。麻耶にくくりつけてあった縄は外れており、今は自由に動ける。
「よく来てくれた。新沼慎次君。いや、今は聖悠介君と呼んだ方がいいな」
ゆっくりとした足取りで中央に向かってくる一人の男性――佐竹宏史。蜃気楼奇術団のリーダー。
少し長い茶色の髪、全体的に細いシルエット。黒のタキシードスーツに白のYシャツ、黒いネクタイ、黒のスラックス姿で登場。その姿はまさに紳士としての出で立ちだが、両腰にさした細長い筒状の物だけが異様さを表している。
「妹たちの助言通りに君が現れた。今から何をするか君なら知っているだろう?」
「そうか……。マネキンを斬るのはあくまでもマジックの一環としてではなく俺を誘うためだったのか」
そう。佐竹は短く言い切った。ゆっくりと悠介との距離を縮めてくる。そして距離が二
メートルをあるかないかのところで歩みをとめ、
「せっかくだ。久し振りの弟との再会を祝して昔話をしてあげよう」
ニヒルな笑みを浮かべそう切り出した。
「昔話?悠介のことに対してなの?」
答えたのは悠介ではなく麻耶だ。佐竹は依然悠介の方を向きながら、
そう。と短く答えるだけだった。
ステージ上に全ての照明が灯る。あまりの眩しさに悠介は腕を使って光を遮る。
そのステージの上に、麻耶の姿があった。麻耶にくくりつけてあった縄は外れており、今は自由に動ける。
「よく来てくれた。新沼慎次君。いや、今は聖悠介君と呼んだ方がいいな」
ゆっくりとした足取りで中央に向かってくる一人の男性――佐竹宏史。蜃気楼奇術団のリーダー。
少し長い茶色の髪、全体的に細いシルエット。黒のタキシードスーツに白のYシャツ、黒いネクタイ、黒のスラックス姿で登場。その姿はまさに紳士としての出で立ちだが、両腰にさした細長い筒状の物だけが異様さを表している。
「妹たちの助言通りに君が現れた。今から何をするか君なら知っているだろう?」
「そうか……。マネキンを斬るのはあくまでもマジックの一環としてではなく俺を誘うためだったのか」
そう。佐竹は短く言い切った。ゆっくりと悠介との距離を縮めてくる。そして距離が二
メートルをあるかないかのところで歩みをとめ、
「せっかくだ。久し振りの弟との再会を祝して昔話をしてあげよう」
ニヒルな笑みを浮かべそう切り出した。
「昔話?悠介のことに対してなの?」
答えたのは悠介ではなく麻耶だ。佐竹は依然悠介の方を向きながら、
そう。と短く答えるだけだった。