W・ブラッティⅡ
「まずどこから話そうか……お前が持つ技術のことから話そう」
そう言うと佐竹はもう一歩悠介に近寄る。そして悠介の顔を眺める。
「お前はどこの人間だ?聖に近しい家の人間ではなさそうだ。だがお前なら知っているはずだ。悠介」
悠介は顔を厳しくする。無理もない。自分はつい最近まで自分の体すらない――幽霊に似た存在として生きてきた。それなのに目の前にいる人間は、さも知っているかのように悠介に答えを振った。
「俺は鉄斎の技術で生まれた人格だ。そんなことしか覚えていない」
それを聞いた佐竹はすぐにハハハと大声で笑い出した。
「こいつはいいや!お前は本気でこの前のことで生まれたと思っているのか!そのことを誰から聞いた?」
「新城玲菜。麻耶の母親だ」
それを聞いた佐竹は数回頷いた。どうやら納得してくれたのか。
「そうか、新城家か。烏の家計の人間か」
悠介にとって意味不明な単語が出てきた。
「なんだ?そのカラスの家計ってのは?」
「そのまんまさ。平気で聖の情報や時には技術まで盗む連中のことだ。その時の頭首はなぜ追放しなかったかは永遠に謎なんだけどな」
そう言うと佐竹は麻耶を一度見、話を続ける。麻耶は当然佐竹を睨む。
「俺の予想では、その時の頭首、もしくは聖家全体の弱みを新城家が握っていたということだ。そうなれば、無敵の力を誇る聖の技術でも勝てない」
「そんなに聖の技術はすごいの?」
今度は麻耶からの質問。鉄斎の使った『血の起爆』も聖の技術の一端であるからにしてそう簡単に敗れるものではないと容易に分かる。しかし、どうしても麻耶は聞きたかった。
「結論から言わせてもらおう。答えは、イエスだ。一人の技術持ちがいれば半年掛かれば日本国民を皆殺しに出来るほどの力だ。一番力の弱い技術を使えばの話だ。『血の起爆』であれば二ヶ月で十分だ」
二か月。麻耶が力なく呟くとペたんと腰を落とした。さらに佐竹がとどめの一撃を言い放つ。
「技術に勝てるのは技術のみ。聖に勝てるのは聖のみだ。並みの人間――例え自衛隊でも技術者に勝てない。ましてやただの人間では触れることすら敵わない」
そう言うと佐竹はもう一歩悠介に近寄る。そして悠介の顔を眺める。
「お前はどこの人間だ?聖に近しい家の人間ではなさそうだ。だがお前なら知っているはずだ。悠介」
悠介は顔を厳しくする。無理もない。自分はつい最近まで自分の体すらない――幽霊に似た存在として生きてきた。それなのに目の前にいる人間は、さも知っているかのように悠介に答えを振った。
「俺は鉄斎の技術で生まれた人格だ。そんなことしか覚えていない」
それを聞いた佐竹はすぐにハハハと大声で笑い出した。
「こいつはいいや!お前は本気でこの前のことで生まれたと思っているのか!そのことを誰から聞いた?」
「新城玲菜。麻耶の母親だ」
それを聞いた佐竹は数回頷いた。どうやら納得してくれたのか。
「そうか、新城家か。烏の家計の人間か」
悠介にとって意味不明な単語が出てきた。
「なんだ?そのカラスの家計ってのは?」
「そのまんまさ。平気で聖の情報や時には技術まで盗む連中のことだ。その時の頭首はなぜ追放しなかったかは永遠に謎なんだけどな」
そう言うと佐竹は麻耶を一度見、話を続ける。麻耶は当然佐竹を睨む。
「俺の予想では、その時の頭首、もしくは聖家全体の弱みを新城家が握っていたということだ。そうなれば、無敵の力を誇る聖の技術でも勝てない」
「そんなに聖の技術はすごいの?」
今度は麻耶からの質問。鉄斎の使った『血の起爆』も聖の技術の一端であるからにしてそう簡単に敗れるものではないと容易に分かる。しかし、どうしても麻耶は聞きたかった。
「結論から言わせてもらおう。答えは、イエスだ。一人の技術持ちがいれば半年掛かれば日本国民を皆殺しに出来るほどの力だ。一番力の弱い技術を使えばの話だ。『血の起爆』であれば二ヶ月で十分だ」
二か月。麻耶が力なく呟くとペたんと腰を落とした。さらに佐竹がとどめの一撃を言い放つ。
「技術に勝てるのは技術のみ。聖に勝てるのは聖のみだ。並みの人間――例え自衛隊でも技術者に勝てない。ましてやただの人間では触れることすら敵わない」