W・ブラッティⅡ

3

「おもしろい。やってみろ。そのための最初の関門だ。俺を倒してみろ」


 悠介は刀を握る力を増して一気に佐竹目がけて振り下ろす。大気すら切り裂いたような音だけを残した。しかし肝心の佐竹には当たっていないようだった。


「さすがは全身に力が漲る『血の開放』の所有者だ。だが力だけで俺に勝とうとは思うなよ」


 すっと後ろから現れた佐竹が今度は悠介の腰目がけ一文字切りを見せる。後ろに振り向きざまに刀を出して腰への直撃を避ける。金属同士のぶつかり合う音が響いた。


 鍔迫り合いを避けた佐竹はすぐにバックステップをして間合いを開けた。再び刀を構え対峙する二人。


 少しの時間を置いて今度は佐竹が仕掛ける。悠介目がけ走り込む。悠介は中段の構えから居合いのような重心を低く構えを取る。しかし、佐竹はそのまま走らず上に高く跳躍する。刀を両手で構えて悠介の頭めがけ自らの体重と共に刀を振り下ろす。完全に裏をかかれた悠介は舌打ちをして後ろに下がり佐竹を迎撃する。


 再び金属同士の激しくぶつかり合う音が響く。体重をかけた佐竹の一撃は重く、悠介は顔を歪めていた。隙を出さないために逆手にから刀を抜いたのがまずかった。今は佐竹の全体重を右腕一本で支えている状態だ。


「うりゃあ!」


 気合いと共に右腕を振り抜いた。その衝撃で佐竹は後ろに引き飛ぶが、ひらりと一回転して難なく着地する。


 一つ息をして顔を見上げると、すぐそこまで悠介が迫ってきている。佐竹はすぐに上段の構えを取って応戦する。


 悠介が佐竹に向かって振り下ろすが止められ、弾かれる。すぐに体勢を立て直し中段から一文字切り。これも防がれる。そして再び上段から切りかかるが受け止められた。


 悠介の攻撃を切り抜けた佐竹は深呼吸をすると、
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