Ｗ・ブラッティⅡ
「うわぁぁぁ！」


　目が覚めた場所はホテルのベッドの上だった。慎次はどうやら夢を見ていたようだ。肩で息をして、体中汗で濡れている。来ている服は昨日のままだった。


　慎次は息を整え、ゆっくり体を横に倒し、今までのが夢だったことを悟る。


　――なんだったんだろう？今の夢は？僕が新沼の家に来た時の記憶？だとしたらあの白衣の男は？


　頭の中で思考を繰り広げる中、


「慎次」


　麻耶が呼んでいる。慎次は思考を止めてゆっくりとした足取りで麻耶のいるリビングに向かった。


　あの男は誰だったのか？健吾の親だと言っていたが果たして誰なのか？


　慎次は解けないことが分かっていてもそのことが頭の片隅で考えてしまうのであった。


「それでこれはどういうことなの？」


　慎次の前に一枚の紙を差し出した。それは慎次も見たこともある紙。


「それは博文さんの……紙？」


　そう言って慎次は後ろのポケットから同じ大きさの紙を取り出した。どうやらそれは慎次のではないもう一人が持っていた紙だ。


「これで二枚目。あとは双子の沙希と沙弥が持っている二枚……」


「こら！」


　自分が質問しているのに勝手に無視されているのに腹を立てた麻耶がこれでもかと大きな声を立てた。自分の世界で考え事をしていた慎次は驚いて後ろに倒れてしまった。


「ちょっとどうしたの麻耶？何でそんなに怒っているの？」


　完全にことの様子が分かってない慎次に、麻耶は顔をうなだれて大きくため息をついた。


「だからこの紙のことを聞きたいの。何なの？鉄斎の遺産とか聖の当主とか」
慎次は事の次第を麻耶に話した。奇術団リーダーの佐竹のこと。後手に入れるべき紙は二枚残っていることも。
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