W・ブラッティⅡ
エピローグ
「第一ラウンドは悠介お兄様の勝利ね。いきなりの大判狂わせね」


 メイドが注いだ紅茶をゆっくり口に運ぶ沙希。その動きはまさにトップセレブという雰囲気を醸し出すが、見た目は十代の少女だ。


「ええ。次の相手は私たちと悠介お兄様ということになりました――勝算の程は?」


 紅茶を入ったカップから口を離す沙希。ゆっくりとした動作で音もなくカップを置くと、


「間違い無く勝てるでしょう。博文お兄様を倒した力は気になりますが相手は覚醒したてのヒヨコ。いくら新型の技術でも私たちの方が新しい技術だし、それに」


 そう言うと沙希は沙弥の方を向いて、


「今はあなたが隣にいますから。二人の力で聖家を支配しましょう」


 手を差し出す沙希。それを握る沙弥。


「分かりましたわ。沙希お姉さま。必ず私たちで聖家を」


 沙希の右手と沙弥の右手は離れることなくしばらくずっと握ったままだった。


 ――全ては私たち姉妹のために。世界は私たち姉妹のために。


 戦いの第二ラウンドは始まりを迎えようとしていた。
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