W・ブラッティⅡ
3
「……報告は以上です。残念ながら聖悠介、並びに聖博文の行方は今のところはっきりとしてはおりません……」
暗い部屋の中で男が話をしている。奥には椅子が二つあり二人が話を聞いている。
二人が同時に右足組む。足が両方とも床に届いていない。しかしその動作はイライラしている感じがうかがえる。
「しかし!必ず!必ず割り出します。ですから――」
そこまで言うと指を鳴らす音が部屋全体に響いて、次に銃声がさらに大きく響く。男の声が聞こえなくなった。
「まったく……高い金を払った割には随分なずさんなお仕事でしたね?エクレシアお姉さま?」
「まったくですわ。これを世間一般では『泥棒猫』と言うのではないでしょうか?カトリカ?」
「……お姉さま。それを言うなら『給料泥棒』です。『泥棒猫』は盗むものが違います。猫の方は好きな男性を強引に奪う女性のことです」
そんなやり取りをしているとすうっと部屋の明かりが灯った。
椅子に座っているのは同じ黒いジャンパースカートを着た二人の少女。顔は二人ともそっくりでぱっちりと開いた眼に金色の瞳。髪は腰まで真っ直ぐ伸ばした金で、赤と青のリボンカチューシャを付けている。肌は白く透き通り、細い手足がまるで人形を想像させるが、一つだけ人形のような容姿に合わないものが彼女たちの右手にあった。
小口径の自動式銃。銃口からは硝煙交じりの煙を吐いている。
暗い部屋の中で男が話をしている。奥には椅子が二つあり二人が話を聞いている。
二人が同時に右足組む。足が両方とも床に届いていない。しかしその動作はイライラしている感じがうかがえる。
「しかし!必ず!必ず割り出します。ですから――」
そこまで言うと指を鳴らす音が部屋全体に響いて、次に銃声がさらに大きく響く。男の声が聞こえなくなった。
「まったく……高い金を払った割には随分なずさんなお仕事でしたね?エクレシアお姉さま?」
「まったくですわ。これを世間一般では『泥棒猫』と言うのではないでしょうか?カトリカ?」
「……お姉さま。それを言うなら『給料泥棒』です。『泥棒猫』は盗むものが違います。猫の方は好きな男性を強引に奪う女性のことです」
そんなやり取りをしているとすうっと部屋の明かりが灯った。
椅子に座っているのは同じ黒いジャンパースカートを着た二人の少女。顔は二人ともそっくりでぱっちりと開いた眼に金色の瞳。髪は腰まで真っ直ぐ伸ばした金で、赤と青のリボンカチューシャを付けている。肌は白く透き通り、細い手足がまるで人形を想像させるが、一つだけ人形のような容姿に合わないものが彼女たちの右手にあった。
小口径の自動式銃。銃口からは硝煙交じりの煙を吐いている。