W・ブラッティⅡ
赤いリボンカチューシャを付けたエクレシアは人差し指で使用人を呼び、上品なトレイの上に銃を置く。使用人も二丁あることを確認すると一例をして足音を立てずに部屋を去った。


少女たちの前で血を流し動かなくなっている男。髪を短く刈りあげ、上品そうなスーツで身を固めているが、自分の血で赤い染みを作っている。


少女たちは男を見下した眼をして使用人を手を叩いて呼び寄せる。すぐに壮年の男が二人の少女の元に駆けつける。今度は青いカチューシャをつけたカトリカが話す。


「早急に二人の行方を掴める探偵を探して。次は決して侮られることの無いようにお願いしますわ。もし見込みなしならあなたの方で消してもらっても構いません。どんな手を使ってでも、無理な場合はどちらか片方でも構いません」


 使用人は一礼をして部屋を立ち去った。その後ろ姿を見送った後、


「やはり、聖のお兄様方も偽名を使って一般世界に潜り込んでいるようですね。元々聖はそう多くはない名字ですが、普段は悟られないように偽名でお互いを隠している。特に鉄斎おじい様の家系はその傾向が強いようです。もちろん私たちも例外ではありませんね?カトリカ」


「そのようですね。エクレシアお姉さま。この紙きれに乗っている情報は聖での本名と、性別と名前。それに年齢だけ。これで一カ月以内に全て紙をそろえるなんて随分無茶苦茶なお話ですね」
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