◇◆センセイは俺の!◆◇
「だから、今みたいな関係がいいんじゃないかなって思った。」
卒業まで、お互いの気持ちだけ知ってる関係。
「大チャンは、それでいいの?」
瞳の真剣な表情、久々に見た。
俺は少しぎこちないが、こくんと頷いた。
「須藤さんのこともあるけど、美波先生の気持ちはちゃんと考えろよ。」
孝兄は、落ち着いた口調でそう言った。
みーちゃんの気持ち…
「今の関係なら、美波先生が泣かないとでも思ってるのか?」
「・・・・」
「お前に気持ちだけの繋がりが守れるのか?」
「・・・俺がみーちゃん以外に気持ちが揺らぐってこと?」
孝兄が言いたいのはそう言うことだろ?
少しムッとしながらも、孝兄にそう聞き返した。
「“それは有り得ない”って大輝は言うでしょ?」
俺への返答は、孝兄じゃなかった。
テルさんからだった。
「うん。」
みーちゃん以外を好きになるなんて、もうない。
「またあの我がままお嬢に迫られても?」
「マキさんとは、もう会わない。」
確かにマキさんに迫られて、断れなかったのは俺の意志の弱さがあったからだ。