◇◆センセイは俺の!◆◇
「大チャン・・・追いかけないの?」
え?
俯いた顔を上げると、瞳が目を細めた優しい表情で俺にそう問いかけていた。
「何で?今、大チャンは美波先生のこと守りたいって思ったんでしょ?」
「それは・・・」
「思ったんでしょ?」
「・・・うん。」
正直に頷いていた。
だって、本当はあんな弱々しいみーちゃんを須藤なんかに渡したくないって思った。
でも、俺には追いかけていく勇気がなかった。
追いかけて…俺はみーちゃんをつかまえる事ができるのか?
須藤に何言われても、自分の意思を突き通す事ができるのか?
「追いかけなよ…大チャン。」
「無理だよ。」
「美波先生…きっと大チャンのこと…
待ってるよ。。」
「でも・・・」
「大チャン、好きなら追いかけなよ!守りたかったら、追いかけなよ!」
好きなら…
守りたかったら…
「行ってくるッ!!」
あーもー、知らねー!どうなっても!
ったく、瞳のおせっかいめ…
俺を突っ走らせたのは、お前だからな!
やれやれとそんな安堵をもらす孝兄や凉さん達を後目に、俺は店を飛び出した。