◇◆センセイは俺の!◆◇
「ここにはね、小さい頃からよく来てたの。だから、ここのマスターともずっと前からの顔見知りなの。」
「へぇ~そうなんだ。」
チラッと、カウンターの中でコーヒーをいれるマスターの方見ながら、みーちゃんは懐かしむような笑みでそう話してくれた。
「家、この辺なの?」
「うん、歩いてここまで5分くらい。」
「へぇ~。」
「私がまだ小さい時お父さんと一緒によく来てた。」
スッと目を細めて窓の外を見たみーちゃんの横顔は、昔の楽しかった日々を思い出して嬉しそうだった。
そんなみーちゃんを、俺はすごく穏やかな気持ちで見つめていた。
「この席で受験勉強をしていた美波ちゃんが、まさか保健の先生をしてるなんてね…いやぁ、懐かしい。」
そう言って、マスターは俺とみーちゃんに淹れ立てのコーヒーを置いた。
「みーちゃ…美波さんは、どんな子だったんですか?」
「あ、こら角クンっ!」
そんな事を聞く俺にみーちゃんは、恥ずかしそうに止める。
でも、聞きたい。
俺の知らない、昔のみーちゃんを。