◇◆センセイは俺の!◆◇
「それでみーちゃん。お母さんのこと…」
「あ…うん…。」
俺は気になっていた。
街で見かけた時、みーちゃんなんか元気なかったし。
「…実は…入院したの。」
「え、」
「胃に…腫瘍が…見つかったの。」
みーちゃんは今にも消えてしまいそうな声でそう言った。
俺はとっさに、テーブルに置かれた震えるみーちゃんの手を握った。
「手術とかで…治るんだろ…?」
いつの間にか、俺の声も震えているように感じる。
だって、まさかみーちゃんのお母さんが…
まだ一度しか会ってないけど、みーちゃんの大切な人だ…死ぬほど心配だ。
「末期…って言われたの。もう、手の施しようがないって…。」
「そんな…」
みーちゃんの俯いた目から、涙が頬を伝う。
俺はなにも言えず、ただ手を握りしめていた。
人を思って、こんなにもどかしい気持ちになったのは…初めてかもしれない。
どうしたらいい?
こんなに弱ってるみーちゃんに俺…
何をしてあげられる?