◇◆センセイは俺の!◆◇
「じゃあ、須藤専務とは話はしなかったのか?」
俺にコーヒーを淹れてくれた孝兄は、カップを差し出しながら、そう聞いてきた。
「会って、少し話した。」
「ふ~ん、そうか。」
孝兄はそれだけの返事で返してきた。
全く。
孝兄はズルい。
そういう反応すれば、俺が話さずにいられないことを分かってる。
「須藤に、みーちゃんとの婚約のことケリつけたいって伝えた。」
また俺のウジウジ虫が顔をだす。
それを呆れもせず、頷きながら親身になって聞いてくれる孝兄。
やっぱ頼りになる。
俺は不安に思ってしまったことを話した。
「須藤…ほんとはすごいみーちゃんの事、好きなのかも…。なんか、そんな感じがした。」
みーちゃんという婚約者がいながら、女にはすぐ甘い顔をするし、冷たい態度をとるし、怒鳴るし、自己中だし…
みーちゃんの気持ちが自分じゃない誰かに向いてるって、気づいてるはずなのに。
それでも婚約を破棄しない。
須藤にとってみーちゃんの存在は…
きっと…