◇◆センセイは俺の!◆◇
「美波には幸せになってほしくてね、須藤さんとの婚約が決まって本当に嬉しかったわ。」
「じゃあ、俺なんか邪魔者ですよね。」
あの時…みーちゃんのお母さんと初めて話した時に、俺は身を引いたほうがいいのかもって思った。
母親が娘の幸せを願うのは当然だし、女でひとつみーちゃんを育ててきたお母さんだ、特別なものだと俺でもわかる。
「いつの頃からか、須藤さんの話はしなくなったわ。…その代わりに、あなたの話をよくするようになったわ。」
それからみーちゃんのお母さんは、俺にこう言った。
“私は美波を感じられるなら、どんな人でもいいわ。たとえ、世間的には許されないイケない恋でもね♪”
そしておちゃめに笑った。
それからお母さんは看護士さんに連れられ、病室へと戻っていった。
俺はひとり、サンドイッチと冷めたコーヒーをもくもくと平らげた。
何か…
何か、俺とみーちゃんの関係を認めてもらったようで…すっげぇ嬉しかった。
俺はもう一度、空を仰ぎ見た。
一直線に飛行機雲が出来ていた。
ベンチから腰を上げ、瞳の病室へと向かうため、屋上を出た。