◇◆センセイは俺の!◆◇
「お、もう帰んなきゃ。今日はなんか瞳が飯食いに行こうってゆってて。」
俺はそう言って、パイプイスから腰をあげる。
瞳と飯を食いに…ホントのことだけど、帰る言い訳に過ぎない。
ホントの理由は、みーちゃんがそろそろ仕事が終わってここに来るから。
だから、俺はここから逃げなきゃいけない…。
俺がここに来てることは…みーちゃんには内緒にしてあるから。
俺は“また遊びに来ます”と言って病室を出ようとした…――――
「角くん…」
「え?」
みーちゃんのお母さんに呼び止められ、振り向く。
「あなたは…あなたの気持ちを大切に…しなさい…。」
不意にかけられたこの言葉に、俺は何て言っていいのか分からず、ただ頷くと病室を出た。