◇◆センセイは俺の!◆◇
それから、日が暮れる前に学校を出ることにした俺と真子ちゃん。
え?ちなちゃんはって?
見てみなよ、ちゃんと校門の外で黒縁めがねのイケメンが待ってるって。
マメだな…タケさん。
それから、真子ちゃんと2人校門を出て、タロウさんの店に向かって歩いてる時だった。
俺らの歩く歩道の反対側の道路脇に停まっている車に目が止まる。
見覚えのある高級車…須藤の車。
無意識のうちに足を止めて、その方向を見ていた。
「どうしたの?…大輝くん?」
「あ…いや、なんでもな…」
真子ちゃんが不思議そうに俺を見上げていた。
気にせず立ち去ろうとした時…須藤の車から誰かが出てきた。
…!!みーちゃんだ。
助手席から出てきたのは、紛れもなく…私服のみーちゃんだった。
それに続いて運転席からスーツ姿の須藤が出てきて…みーちゃんへと歩み寄った。
俺は次の瞬間、
見なければ良かったと思った。
2人に気づかなけりゃよかったと思った。
歩み寄った須藤の胸に何もかも預けるかのようにもたれかかるみーちゃんがいた。
そんなみーちゃんをそっと抱き寄せる須藤は…俺の知らない優しさに満ちた顔をしていた。
「…大輝くん。…行こう?」
「う、うん。」
その光景に気づいた真子ちゃんは、立ち尽くしている俺の腕を軽く引っ張りながら、その場から立ち去った。