◇◆センセイは俺の!◆◇
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「普通寝るか?送ってもらっといて…」
「フフッ、いいじゃないですか。道なら私が分かりますし。」
「まぁ…そうだな。」
「大輝くんも色々大変みたいだし…」
「ああ…」
後部座席で軽く閉じた瞼に対向車のライトを感じながら、真子ちゃんと凉さんのそんな会話を聞いていた。
家まで送ってくれると言う凉さんのお言葉に甘えて2人に便乗した。
でもやっぱりなんか悪いと思って、
寝たふり…。
それと、真子ちゃんと2人っきりになった時の凉さんの様子にちょっと興味があった。
「凉さん…凉さんなら、どうしますか?
自分の好きな人が、他の誰かに頼ってるところを見たら…。」
「どうするか…か。答えなきゃだめか?」
「はい。」
あ~こういう時、真子ちゃんが強い。
すげー…俺今、貴重な空間にいる。
凉さん…無口じゃないし、何か新鮮。
「そうだなぁ…正直言うと、何もできないかもしれない。俺は…真子のことになると弱虫だからな。」
そう言ってハハッと小さく笑う凉さんの声が聞こえる。
俺は家に着いて凉さんに叩き起こされるまで、寝たふりした。