◇◆センセイは俺の!◆◇



なんの宛もなく、ほっつき歩いていてたどり着いたのは駅前の広場。


ライトアップされた噴水は、いつもカップル達の憩いのデートスポットだけど…


今日は誰もいない。


どうやらみんな暖かい部屋でイチャイチャしてんだな。


“はぁ…”


吐く息は白く、冬の澄んだ夜空に消えていく。



俺はひとり、思いだしていた。



それはある朝の保健室での会話。



――――――――
――――



「熱いなぁ…早く冬になれよ~。」


「角クンは夏より冬のほうが好き?」


「ん~、暑いより寒いがまだいい。
それに寒い冬の夜空が好きなんだ。」


「冬の夜空?」


「うん、寒くてでも空気が澄んでて…白くなった息が真っ暗な空に消えてく瞬間…
すげぇ好き。」


「へぇ~…」


「そうだ、みーちゃん。
冬になったら、夜空見ようぜ一緒に。」


「うん。」


「約束な…?」


「うん。」



―――――――・・・・



そんな約束してたなぁ…。


今思えば、何だよその約束!ってくらいのくだらない約束だったのかもしれない。


それでも俺達には小さくても大事な約束だった。



2人で一緒っていう特別な約束。



みーちゃんは…覚えてる?




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