◇◆センセイは俺の!◆◇
「なんで?…彼女いた?」
「いや、彼女はいないよ。」
俺が力なくそう首を振ると、マキさんは俺の上からどけて隣りに寝転んだ。
うす暗い部屋にマキさんの白のシルクのワンピースが月明かりで輝く。
肩の出たその格好がさすがに部屋でも寒そうだから、そっとシーツをかけてあげた。
「私ね…仕方ないと思ってたの。家のために親の決めた相手と一緒になるの。」
寝ころんだままのマキさんが静かに話し始めた。
「でもね、自分が好きじゃない相手と一緒にご飯食べたりドライブしたりしても楽しくないし…寝たりするの、すごくツラかった。」
マキさんがそんなツラい思いをしてるのは分かってた。
あの頃、俺と会うたび猛獣のようだったけど…なんか寂しそうだったし。
結構辛かったんだよな、マキさん。
いつも明るいけど、弱音が吐けなかったんだよな。
なんか、そういう部分…美波先、いやみーちゃんと似てる。