◇◆センセイは俺の!◆◇
そして、後から追いついた瞳に何か奢れとせがみながら、校門まで歩いていた。
ふと見ると、校門の前に人だかり。
何かこの光景よく見るなぁ…なんて他人事のように思いながら、立ち去ろうとした時だった。
「大輝くん。」
人だかりの方から、俺を呼び止めた人物がいた。
「…須藤。」
「やぁ、久しぶりだね。」
「…はぁ。」
俺にそう話しかけてきた須藤は、いつもの紳士的な笑みで笑いかけてきた。
それにどう返せばいいのか分からず、俺は下を向いていた。
「…何の用すか。」
「君に渡したいものがあってね。」
「俺に?」
俺の問いかけに須藤は軽く頷き、高級そうなスーツの上着の内ポケットからあるものを取り出し、俺の前に差し出した。
「何すか?これ。」
それは一枚のちょっと硬めの封筒だった。
「開けてみれば分かるはずだ。」
須藤はそれだけしか言わなかった。
俺もその場でこの封筒を開けることもできたけど、開けなかった。
須藤は瞳に一言二言話しかけると、
“ではまた”と言って車へ向かってしまった。
でも、その途端俺は…
「ちょっと待って下さい。」
そう叫ぶように須藤を呼び止めていた。
そして、車のドアを開けて立ち止まっている須藤へ歩み寄った。
「少し…話せませんか?」