◇◆センセイは俺の!◆◇



――――――・・・



「コーヒーを2つ。」



須藤を呼び止めた俺は、須藤の車でタロウさんの店にきていた。



思わぬ人物と現れた俺に、一瞬は驚いていたタロウさんも「ごゆっくり」とコーヒーを出してまたカウンターへと帰っていった。


須藤はブラックでコーヒーをひと口啜る。


それを黙って目で追いながら、ドクドクと脈打つ自分の心臓に焦っていた。



なんで呼び止めちまったんだよ俺…


いや、でもクリスマスのこと礼言わなきゃなんねーと思ったから…


てか何からどう切り出しゃいいんだぁ!?



「ここは美波とよく来たのか?」


「は?…あ、いや。一度だけ。」


「そうか。」



突然聞かれて焦ったけど、すぐにそう答えた。


ここには一度、
美波先生の誕生日に連れてきただけ。
先生の誕生パーティーをした。


まっ、最後はあんたに邪魔されて終わったけどな。



「なかなか旨いコーヒーを出す店だな。」



え?


見ると須藤は満足そうにコーヒーを片手に俺に言った。


あれ?なんだ?


前みたいに嫌みかよ!みたいなイライラ感がしない。
てか、須藤の俺にむける表情がどこか優しく…嫌みな感じが全くない。



それから俺は穏やかな心持ちで、口を開いた。



「あの…クリスマスの夜のこと、聞きました。…ありがとうございました。」



< 355 / 413 >

この作品をシェア

pagetop