◇◆センセイは俺の!◆◇
「言わなくていいと言っておいたのに…」
須藤はフッと頬を緩めた。
「驚いたよ、まさか君があんなところで倒れているなんて思ってもみなかった。
酒の匂いがしたから――――と思ったが、熱があるようだから美波のところに連れていったんだ。」
そう言いながら、ちょっと意地悪げに笑う須藤に俺は気まずそうに視線を逸らす。
酒の匂い…
未成年から酒の匂いがしてるんだから…
あきらかにヤバい。
「ははっ、まぁそれは気のせいだったことにするよ。そういう年頃だからな。」
あ…やっぱり。
何か須藤の雰囲気が変わった気がする。
なんというか、突っかかりやすくなった?
そんな須藤にいつの間にか俺の心臓は落ち着きを取り戻していた。
「あの…なんで俺を美波先生のところに連れていってくれたんですか?」
「それは…まぁ、君を預けるつては美波しかいなかったから、だろうかな。」
少し口詰まったようだったけど、須藤の言葉をそのまま受け取った。
そのあと、何を喋るでもなく2人でコーヒーを飲んでいた。
なぜか2人きりのこの空気が嫌じゃなくなっていた。
前は嫌で嫌でしょうがなかったのに。
…不思議なもんだぜ。