◇◆センセイは俺の!◆◇
「婚約者の男がね、20歳も年上で、自己中でわがままでお金お金の人なの…」
「そんなに年上なんすか?」
「もうハゲかけてお腹なんかだいぶメタボだし。そんな男に、会う度に抱かれるのよ?笑っちゃうでしょ?」
そう言って笑ったマキさんは、どこか悲しそうだった。
「その婚約者のこと…好きじゃないんすか…?」
「世間ばかり気にして、私なんかただの性欲処理か出世の道具にしか思ってない男なんて、好きになんかなれないわよ」
「マキさん…」
きっとマキさん、今までその男のせいで悲しい思いしてきたんだ…。
だから、年下で世間体とか出世とか、そういうのなんか関係のない俺なんかに、助けを求めてきたのかな…?
マキさんは俺の肩に寄りかかって、
「…大輝クン…私を癒やして…?」
かすれるくらい小さい声でそう呟いたマキさんに、俺は、力一杯抱き寄せた。
そしてそのまま、ぎこちなく…深くキスをした。
優しく押し倒したマキさんを、さっきとは違って、俺が精一杯抱いた。
時々、戸惑う俺にマキさんは優しく導いてくれた。