◇◆センセイは俺の!◆◇



「なになに?こちらは…SUDO代表取締役、須藤誠様の結婚披露パーティーへのご招待状でございます―――…」



カードに印字された金色の文字を丁寧に読み上げるタロウさん。


俺はただその文字を見つめたまま、何も喋らなかった。



「ま、まぁ、相手がどんな人かもまだ分からないんだし…!」


「相手って…1人しかいないじゃんか。」


「で、でもねぇ…」


「これで確実だって、噂で聞いたし…先生がブライダル誌見てたって。これってそういうことだろ?」


「大輝ちゃん…」


「もういいんだ。
先生が幸せになるんだったら。」



そう言って笑ったけど、きっとちゃんと笑えてなかったかも。



タロウさんはそのあと何も言わなかった。



俺はしばらく座ったまま居たけど、なんかいまいち気分がよくなくて、帰って寝ることにした。



ダウンをしっかり着て、例の招待状を手に取りタロウさんに「んじゃまた」と声をかけてから店をでた。



家に帰ると真っ先に2階の自分の部屋へと向かった。



階段を上ってると母さんが夕飯だと声をかけたけど、いらないとだけ言って部屋へ入った。



食欲ないや。



別にどうってことないし、招待状もらったくらい。



先生が結婚するこてだって、嬉しい限りだし。



…別にどうってことない…

ただ腹が減ってないだけだし、

眠いだけだし…



ダウンを脱ぎ捨てて制服のままベットに潜り込んだ。



布団の中は凍えそうなくらい冷たかった。



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