◇◆センセイは俺の!◆◇
センセイなんて言わせない
――――チーン…
エレベーターの到着を知らせるベルで、瞑っていた目を開ける。
気がつけば、最上階だった。
ふぅ…
一息ついてエレベーターを降りる。
「スイートルーム?」
何考えてんだよ、須藤のやつ。
お詫びに
スイートルームでくつろげってか?
それとも美人で金持ちの女を紹介でもしてくれんのかよ。
どんなに贅沢で、優越感を味わえたとしても…俺はきっと癒されない。
俺が癒やされるとしたら…
きっと…
あのはにかんだ笑顔かもな。
なんてことを考えながら、
【505】号室を目指す。
と言っても、この階に部屋はひとつしかないらしい。
20mくらいある赤い絨毯の廊下を歩き、行き止まりのドアの前で立ち止まる。
【505】と書かれた金のプレートを確認すると、ポケットから須藤から渡された鍵を取り出し鍵穴に差し込んだ。
カチャンと音がし、ドアに手をかける。
期待なんかしてないはずなのに、
ちょっと胸がドキドキする。
自分で無意識に息をのむのが分かった。
さて、このドアの向こうに何が待つか…
豪華なもてなしか、
はたまた、金持ちの美人か。
俺は重いドアを開けた。