◇◆センセイは俺の!◆◇
その声に反応し、振り返るとそこには50代後半くらいの…一言で言うならワイルドなオジサンがいた。
色黒で、Tシャツにジャケットとすんごいラフな装い。
この人が理事長?
もっと偉そくそ気なオジジじゃなくて?
と、普通の生徒なら思うだろう。
でも、俺はまた違う意味で驚いていた。
「た、孝信さんっ!?」
思わずそう叫んでいた。
当然、理事長に向かってそんなことを言ったもんだから教頭は慌てて俺を叱る。
「こら!君!理事長に向かってっ…」
「いいんだよ、今野教頭。」
「いや、でもしかし…」
そして教頭はもう出てよいと理事長に言われ、理事長室から渋々出て行った。
さてと、邪魔ものはいなくなった。
ここはじっくり聞かないと。
「何で教えてくんなかったんですか~?
孝信さん。」
ソファーに深く腰掛けながら、目の前で真っ白な歯を見せてニカッと笑うおっちゃんに聞く。
「まさかな~大輝くんが保健室の先生と
そんな関係になってるとはな~。」
「いやいや、答えになってな…」
「大輝くんも角においておけんの~?
くくっ…角くんだけに。」
「ちょっ…孝信さぁん。」
冷たいオヤジギャグを楽しそうにゆってるこのおっちゃんが…あの孝兄の父親だとはホント信じらんないよ。