◇◆センセイは俺の!◆◇



――――――――ガラッ



「みーちゃんっ…」


「す、角クン?」



すごい勢いで保健室のドアを開けたもんだから、みーちゃんはひどく驚いた顔で振り返った。



走ってきたから息が上がっていた。
静かに戸を閉めると、とりあえずひと息ついて、みーちゃんの元へ歩み寄った。



ついでに窓際のカーテンを締め切って、
そのまま座って俺を見上げていたみーちゃんを引き寄せ、抱きしめた。



ふんわりと香る桜の匂い。


はぁ…落ち着く。



「角クンっ…今はあんまりこういう…」


「分かってる。今だけ…もうちょっと。」

「う、うん…」



分かってる。
あんな事があった直後にこんな事してて、もし見られたらもうどうしようもない。



でも、今だけ。

ちょっとだけ。


ずっとこうしたかった。


嫌な思いをさせちゃったみーちゃんを、
ぎゅっとして包み込んでやりたかった。


ごめんな…って。
大丈夫だから…って。



俺はしばらく、
みーちゃんを抱き締めたままでいた。




< 400 / 413 >

この作品をシェア

pagetop