◇◆センセイは俺の!◆◇
「ねぇ、大チャンなんで彼女作んないの?」
廊下で前を歩く瞳が、透き通る声で聞いてきた。
「別に。理由はねぇよ。」
そう言いながら、窓の外に目をむけた。
校庭では、休み時間をサッカーで楽しむ生徒たちが群がっていた。
「好きな人いるの~?」
「いねーよ。」
「まさか、美波先生とか?」
「まさか。」
なんでみ~ちゃんが出てくんの?
てか、その“図星でしょ!?”みたいな顔でみんなよ。
「だって、毎日保健室行ってるじゃん。み~ちゃんなんて呼んでるし。」
「孝幸言ってただろ?保健室のベットは寝心地いいって。」
「…そう、だったね。」
おっと、孝幸の話はあんまできねーな。
孝幸ってのは、俺の兄貴みたいな人。
そして、瞳の恋人。。
孝幸は大学卒業を待たずに、ロンドンへ留学した。