恋文〜先生へ綴る想い
それからも私は補習が終わるたびに、しゅーた先生に話しかけることをやめなかった。
先生の方もちゃんと私を相手にしてくれたので、
少しずつだけど、私達は徐々に心の距離を近づけていった(と思う)。
夏休みも後半にさしかかったある日のこと。
補習終了後、教室の窓を閉めていたしゅーた先生が私に言った。
「…またダメだった」
「え…?」
「県の教員採用試験…。今年も一次敗退」
「…うそ」
「ホント」
遠くから聞こえてくるセミの声を遮るように、しゅーた先生は自嘲した。
「言い換えれば、教育委員会は今の俺に、お前らみたいな県の宝を任せられないってわけだ」
先生はめずらしくネガティブな発言をした。
「そんな…、そんなことないでしょ…?」
私はとっさに先生の言葉を否定した。
でも、先生は面白くなさそうに返してきた。
「なんでそう言い切れる?」