恋文〜先生へ綴る想い

それからも私は補習が終わるたびに、しゅーた先生に話しかけることをやめなかった。


先生の方もちゃんと私を相手にしてくれたので、


少しずつだけど、私達は徐々に心の距離を近づけていった(と思う)。




夏休みも後半にさしかかったある日のこと。


補習終了後、教室の窓を閉めていたしゅーた先生が私に言った。



「…またダメだった」


「え…?」


「県の教員採用試験…。今年も一次敗退」


「…うそ」


「ホント」



遠くから聞こえてくるセミの声を遮るように、しゅーた先生は自嘲した。



「言い換えれば、教育委員会は今の俺に、お前らみたいな県の宝を任せられないってわけだ」



先生はめずらしくネガティブな発言をした。



「そんな…、そんなことないでしょ…?」



私はとっさに先生の言葉を否定した。



でも、先生は面白くなさそうに返してきた。



「なんでそう言い切れる?」
< 33 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop