恋文〜先生へ綴る想い

細い道を抜け、しばらく小走りしていると、息を上げたしゅーた先生が不機嫌そうに訊いてきた。



「カス…、お前…、一体俺をどこに連れて行く気だよ…?」



私は先生を振り返り、その場で足踏みすると、


「外国です」と答えた。



「外国…?」



しゅーた先生が眉を寄せた。



「だって先生、さっき外国に行かなきゃって言ってたじゃないですか」


「それはそうだけど、ここは日本だろ…?外国って、お前…」



私は先生の言葉をかき消すように言った。



「先生は知らないでしょうけど、この近くに“天竺(テンジク)”があるんです。確か“天竺”って、インドのことですよね…?まさに外国じゃないですか」



しゅーた先生は首を傾げた。



「それはそうかもしれないけど…、俺が言う外国ってのはインドじゃなくて、アメリカとかイギリスとか、英語圏の国であって…」


「つべこべ言わないでください…!もう少しですから」



なんとか先生をなだめ再び走り続けると、


私達は学校の近くを流れる川沿いの遊歩道に立っていた。
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