恋文〜先生へ綴る想い
「私もよくは知らないんですけど、“天竺”って、確か立派な人になるために、修行に行く場所なんですよね…?」
「ん…?そうだったかな…?」
しゅーた先生は再び首を傾げた。
「そうみたいですよ。うちのおばーちゃんが言ってましたから」
「へー」
「だからここに来れば、わざわざホントの外国に行かなくても、先生だって立派な先生になれるんじゃないかと思ったんですけど…」
「えー?!」
先生が変な声を上げたので、私は恥ずかしくなって、思わずベンチから立ち上がった。
「…なんて。外国とか天竺とか言うのは実は単なるこじつけで、ホントはここ、私がこの町で1番好きな場所で…、先生をここへ連れて来させてあげたかったんです」
「え…?」
疑問符を連発する先生に、私は彼をここへ連れて来たホントの理由を述べた。
「私ね、ここに来てこの川の流れを見ていると、自然と心が癒されるんです…。へこんでいるときとか特にね…。だから、先生にもここで傷ついた心を癒してもらえたらなって思ったんですけど…」
「…カス」
先生は私の顔をまたじっと見つめた。